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教科の枠を越えて・・英語で学ぶ「CLIL」

こちらはとある難関中学の入試で実際に出題された問題です。

設問:下線部(1)についてこの事柄に関係が深いことわざとして最も適当なものを次のア~キから記号で選び、記号で答えなさい。

ア 急がば回れ  イ 馬の耳に念仏  ウ 暖簾に腕押し  エ 覆水盆に返らず  オ 仏の顔も三度まで  カ 笑う門には福来たる  キ 犬も歩けば棒に当たる

さて回答選択肢から察するにこれは国語の出題でしょうか・・いいえ実は理科なのです。問題文中の下線部を記してみましょう。

<管の中に広がったインクは自動的に元の位置に集まって1滴のインクに戻ることはありません。>

問題文をみれば当然理科なのですが、出題者は敢えて国語の要素を混ぜ込んでいるのです。
他教科の知識を問うような、一見ユニークとも思えるこの「科目横断的」な入試を一例として、近年中学入試は時代の変化や教育観の変化と共に多様化し、「合科型」「総合型」といわれるものに名称を変え、大学入試を超える速さでその改革の歩みを進めています。

教育改革に先んじて各校が新型入試の導入に至った経緯とその選抜方法の意義を紐解いていくと、ある共通の背景と目論見が見えてきます。それは教科縦割りになりがちな従来の指導要領の在り方を改め、「教科の枠を越えた力」、つまり教科特有の力でありながら他の分野にも適用(転移)出来る力を重視しようという方向性を明確に打ち出している点です。

このような教科を越えて必要とされる資質や能力、いわば「汎用的スキル」をどのように高めていくのかという問いに対しては、現在、新学習指導要領下の学びの現場においても「教科の統合授業」という形での新たな取り組みが始められており、各教科で学んだ個別の知識や技能を一体化させることにより、未来の状況変化にも柔軟に対応しうる力の育成を目指す、という学びのスタイルに変わってきています。

そしてこの教科組み合わせによる高い学習効果が確認されているのが「CLIL(Content and Language Integrated Learning 内容言語統合型学習 クリル)」です。これは社会や理科などの教科ないしは時事問題や異文化理解などのトピック(内容)と言語(外国語)の両方を合わせて教育する外国語の学習方法で、ヨーロッパで始まり日本でも小学校をはじめとした外国語活動の中で本格的に導入され広がりを見せています。
教科内容と言語の学習を同時に行うという、このCLILは通常の英語の授業と比較してどのような利点があるのでしょう。それはCLILが重要なフレームワークとして掲げる、「Content(内容)」「Communication(言語)」「Cognition(思考)」「Culture/Community (文化/国際理解・協同学習)」の「4つのC」の原理に着目してみることで、おのずとこの指導法が活用されている有意性が見えてきます。

先ず内容に関しては他教科の進度や現況をふまえ、生徒の興味、関心のあるテーマを効果的なタイミングで英語学習に結び付くような工夫が施されています。生徒にとっては取り掛かろうとする問題の中に他の教科で学んだデータを見つけると、より親近感を持って取り組むことができ、またタイムリーで「生きた文脈」の中で学んだ方がより記憶として定着しやすいという利点があります。

以前述べたSDGsもCLILの頻出テーマであり、異文化理解や国際問題の要素を文字だけでなく、音声、視覚(図版や映像)による情報も交え協同学習(ペアワークやグループ活動)で取り組むことで他者への理解、また言語や文化をより体験的に学習することが可能であるとしています。
そしてCLILの最大の特長として挙げられるのは、授業内での英語は偶発的な会話表現も含め全てが学習言語であるということ。内容の訳読知識や訓練より「対人コミュニケーションと学習ツールとしての言語使用」に重点がおかれた環境で、生徒は自由度の高い英語で発話し、単語や文法の知識だけに依ることのない会話表現を数多く体験することで言語そのものに対する学習意欲が高まるとされています。

例えば社会科で既習の「ごみの再利用」をテーマにCLILで授業を行なった場合、生徒は学習言語である4R(Recycle、Reduce、Reuse、Refuse)の英単語の意味とその違いを認識することで語彙力と言語活動が増し、国際社会や地球環境に対して自分たちが今なすべき事をあらためて考える視点が持てたとする事例が報告されているなど、子供たちの「体験的理解」はCLILによって次々に実現しています。

「英語を学ぶ」でなく「英語で学ぶ」・・英語で様々な知識を得てそれらを運用することを目的としたCLILは、小学英語の必修化と共にあらゆる科目との統合が図られていくでしょう。レプトン英語が要とする、「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能習得のための学習法はインプットとアウトプットのバランスを重視したCLILと非常に親和性が高く、今後着実に進められていく大学の学部授業の英語化や、全授業の英語化の布石としての役割を担っていきます。

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